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手足口病の免疫持続期間と再感染のリスク
手足口病に一度かかると、その原因となった特定の型のウイルスに対する免疫は獲得できますが、その免疫がどのくらいの期間持続するのか、そして他の型のウイルスに再感染するリスクはどの程度なのか、気になるところです。一般的に、手足口病の原因となったウイルス(例えば、コクサッキーウイルスA16型など)に感染して回復すると、そのウイルスに対する中和抗体という免疫物質が体内で作られます。この中和抗体が存在する間は、同じ型のウイルスが再び体内に侵入してきても、発症を防いだり、症状を軽く抑えたりする効果が期待できます。この型特異的な免疫の持続期間については、正確なデータは限られていますが、数年間は持続すると考えられています。つまり、同じ型のウイルスに対しては、しばらくの間は再感染しにくい状態が続きます。しかし、前述の通り、手足口病の原因ウイルスは非常に多くの種類が存在します。そのため、ある型のウイルスに対する免疫を獲得しても、他の型のウイルスに対しては全く無防備な状態です。これが、手足口病が何度もかかる主な理由です。再感染のリスクは、どの型のウイルスが流行しているかによっても大きく左右されます。例えば、過去に流行したことのない新しい型のウイルスや、しばらく流行していなかった型のウイルスが流行し始めると、多くの人がそのウイルスに対する免疫を持っていないため、感染が広がりやすくなります。また、年齢が低いほど、様々な型のエンテロウイルスにまだ感染した経験が少ないため、新しい型のウイルスに遭遇するたびに手足口病を発症するリスクが高くなります。成長とともに、様々な型のエンテロウイルスに感染する機会が増え、徐々に多くの型のウイルスに対する免疫を獲得していくことで、手足口病にかかりにくくなると考えられています。しかし、成人であっても、免疫を持っていない型のウイルスに感染すれば発症する可能性はあります。