足のむくみは日常的によく見られる症状ですが、中には注意が必要な「危険なむくみ」も存在します。以下のようなサインが見られたら、自己判断せずに速やかに医療機関を受診するようにしましょう。まず、片足だけが急にむくみ始めた場合です。特に、痛みや赤み、熱感を伴う場合は、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の可能性があります。これは、足の静脈に血栓(血の塊)ができる病気で、血栓が肺に飛んで肺塞栓症を引き起こすと命に関わる危険な状態です。次に、息切れや呼吸困難、胸の痛みを伴うむくみです。これは、心不全や肺塞栓症など、心臓や肺の重篤な病気のサインである可能性があります。特に、横になると息苦しさが増す、夜間に咳き込んで目が覚めるといった症状は要注意です。急激な体重増加とともにむくみが現れた場合も、心不全や腎不全などが悪化している可能性が考えられます。数日で数キログラム以上体重が増えるような場合は、体内に余分な水分が溜まっているサインです。また、顔やまぶた、手など、足以外の部位にもむくみが見られる場合(全身性のむくみ)は、腎臓病や肝臓病、甲状腺機能低下症といった内臓疾患の可能性を考慮する必要があります。尿量の減少や血尿、タンパク尿、黄疸、強い倦怠感といった他の症状にも注意しましょう。皮膚の状態も重要なチェックポイントです。むくんでいる部分の皮膚が赤く腫れて熱を持っている、あるいは逆に冷たくて色が悪くなっている、水ぶくれができている、皮膚が硬くなっている、傷が治りにくい、潰瘍ができているといった場合は、感染症や血行障害、リンパ浮腫などが進行している可能性があります。これらのサインは、単なるむくみではなく、何らかの病気が背景にあることを示唆しています。放置しておくと、病気が進行したり、重篤な合併症を引き起こしたりするリスクがあります。自己判断はせず、できるだけ早く内科や循環器内科、腎臓内科、血管外科など、適切な診療科を受診し、医師の診察を受けるようにしてください。