息苦しさは、男性だけでなく女性にも起こりうる症状ですが、女性の場合、特有の原因が関わっていることもあります。まず考えられるのが、貧血です。特に月経のある女性は、経血によって鉄分が失われやすく、鉄欠乏性貧血になりやすい傾向があります。貧血になると、血液中のヘモグロビンが減少し、全身に酸素を運ぶ能力が低下するため、少し動いただけでも息切れがしたり、動悸やめまい、倦怠感を感じたりすることがあります。これが息苦しさとして自覚されるのです。次に、更年期障害も息苦しさの原因となることがあります。更年期には、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少し、自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経は呼吸や心臓の働きもコントロールしているため、その乱れが動悸や息切れ、ほてり、発汗、めまい、不安感といった様々な症状を引き起こし、その一つとして息苦しさが現れることがあります。また、妊娠中も息苦しさを感じやすくなります。妊娠後期になると、大きくなった子宮が横隔膜を押し上げ、肺の動きが制限されるため、呼吸が浅くなり、息苦しさを感じることがあります。また、妊娠中は血液量が増加し、心臓への負担も大きくなるため、それも息苦しさの一因となることがあります。その他、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)や甲状腺機能低下症(橋本病など)といった甲状腺疾患も、女性に比較的多く見られ、動悸や息切れ、倦怠感、体重変化などとともに、息苦しさを引き起こすことがあります。これらの女性特有の原因による息苦しさの場合、それぞれの原因に応じた治療が必要となります。貧血であれば鉄剤の補充、更年期障害であればホルモン補充療法や漢方薬、対症療法など、甲状腺疾患であればその治療を行います。もし、原因不明の息苦しさが続く場合は、婦人科や内科を受診し、これらの可能性についても相談してみると良いでしょう。
女性特有の息苦しさ貧血や更年期も?