女性の場合、男性とは異なる特有の要因で背中に痛みを感じることがあります。特に、月経周期や妊娠・出産、更年期といったライフステージの変化に伴うホルモンバランスの変動が、背中の痛みに影響を与えることがあります。まず、月経前や月経中に背中の痛みや腰痛を感じる女性は少なくありません。これは、月経前に分泌されるプロスタグランジンという物質が、子宮を収縮させるだけでなく、血管を収縮させたり、痛みを増強させたりする作用があるためと考えられています。また、骨盤内のうっ血や、月経に伴うホルモンバランスの変化が、自律神経の乱れを引き起こし、筋肉の緊張や血行不良を招いて背中の痛みに繋がることもあります。妊娠中も、お腹が大きくなるにつれて体の重心が変わり、姿勢が変化することで、背中や腰の筋肉に負担がかかりやすくなります。また、リラキシンというホルモンの影響で骨盤周りの靭帯が緩むことも、腰背部痛の原因となることがあります。産後も、授乳や抱っこといった育児による無理な姿勢や、ホルモンバランスの急激な変化、睡眠不足などが、背中の痛みを引き起こす要因となります。そして、更年期(一般的に40代後半から50代半ば頃)になると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少し、自律神経のバランスが乱れやすくなります。これにより、肩こりや腰痛、関節痛といった運動器系の不調が現れやすく、背中の痛みもその一つとして感じられることがあります。また、エストロゲンの減少は骨密度の低下にも繋がり、骨粗しょう症のリスクが高まるため、圧迫骨折による背中の痛みにも注意が必要です。これらの女性特有の背中の痛みが疑われる場合、まずは婦人科に相談するのが良いでしょう。婦人科では、ホルモンバランスの乱れや婦人科系の疾患(子宮内膜症や子宮筋腫などが背部痛の原因となることもあります)の有無などを調べ、必要に応じてホルモン療法や漢方薬、鎮痛薬などの治療を行います。また、整形外科や内科との連携が必要となる場合もあります。
女性特有の背中の痛み生理や更年期も関係?