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水分と塩分補給熱中症応急手当のポイント
熱中症の応急手当において、体を冷やすことと並んで重要なのが、失われた水分と塩分(電解質)を適切に補給することです。高温多湿な環境下では、大量の汗をかくことで、体内の水分だけでなく、ナトリウムやカリウムといった電解質も一緒に失われてしまいます。これらが不足すると、脱水症状や熱けいれん(筋肉の痛みを伴うけいれん)などを引き起こすため、速やかな補給が不可欠です。水分と塩分を補給する際のポイントとしては、まず、意識がはっきりしていて、自分で飲める状態であることを確認します。意識がない場合や、吐き気があって飲めない場合は、無理に飲ませると誤嚥(ごえん)して気管に入ってしまう危険性があるため、絶対に避けましょう。この場合は、医療機関での点滴による補給が必要となります。何を飲ませるかですが、最も適しているのは、スポーツドリンクや経口補水液(ORS)です。これらは、水分と電解質(特にナトリウム)がバランス良く配合されており、体への吸収もスムーズです。もし、これらが手元にない場合は、食塩水(水1リットルに対し、食塩1~2グラム、砂糖を少量加えると吸収が良くなります)を作るのも一つの方法です。ただし、お茶やコーヒー、アルコール飲料は、利尿作用があったり、脱水を助長したりする可能性があるため、熱中症の際の水分補給には適していません。また、真水だけを大量に飲むのも、体内の電解質濃度が薄まってしまう「低ナトリウム血症」を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。飲ませる際は、一度に大量に飲ませるのではなく、少量ずつ、こまめに摂取させることが大切です。冷たすぎると胃腸に負担をかけることがあるため、常温に近いものが望ましいでしょう。水分と塩分の補給は、熱中症の重症化を防ぎ、回復を早めるために非常に重要です。しかし、これもあくまで応急手当の一環であり、症状が改善しない場合は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。