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私が小さいものもらいを放置して後悔した話
それは、仕事が最も忙しい時期のことでした。ある朝、鏡を見ると、右目の下まぶたの縁に、ニキビのような小さな白い点ができているのに気づきました。痛みもかゆみもなく、見た目にもほとんど目立たない。典型的な「小さいものもらい」でした。忙しさを理由に、「これくらいなら放っておいても治るだろう」と、私は高をくくってしまったのです。それから数日間、その小さなできものは、特に大きくなることもなく、かといって消えることもなく、静かに存在し続けていました。しかし、一週間ほど経った頃から、少しずつ異変が起き始めました。瞬きをするたびに、ゴロゴロとした異物感を感じるようになったのです。そして、その小さな点が、徐々に硬いしこりのように変化していくのがわかりました。それでも私は、まだ楽観視していました。しかし、二週間が過ぎた頃、そのしこりが突然、赤く腫れ上がり、ズキズキと痛み始めたのです。まぶたは重く、見た目にも明らかに腫れているのがわかりました。さすがにこれはまずいと思い、私はようやく眼科へ駆け込みました。診察した医師は、私のまぶたを見るなり言いました。「あー、これは霰粒腫が化膿していますね。最初、小さかった時に来てくれていれば、点眼薬で治ったかもしれないのに」。結局、その日はまず抗生物質で化膿を抑えることになり、数日後、炎症が引いたところで、まぶたを切開して中のしこりを掻き出すという処置を受けることになりました。麻酔の注射は痛く、処置後も数日間はまぶたが腫れ、眼帯をして仕事をしなければなりませんでした。医師の「最初に…」という言葉が、私の心に重く響きました。あの時、たかが小さいものもらいと侮らず、すぐに病院へ行っていれば、こんな痛い思いも、面倒なことにもならなかったはずです。この経験から私が学んだのは、体の小さなサインを軽視してはいけない、ということです。忙しいから、大したことないから、という言い訳は、後になって大きな後悔を生むことがあります。どんなに小さな異常でも、専門家の判断を仰ぐことの大切さを、私は身をもって痛感しました。