息苦しさの原因は多岐にわたるため、医療機関では様々な検査を組み合わせて、その原因を特定していきます。どのような検査が行われるのか、主なものを知っておくと、受診の際の不安が少し和らぐかもしれません。まず、基本となるのが問診と身体診察です。医師は、いつから、どのような時に息苦しいか、他の症状(咳、痰、胸痛、動悸、むくみなど)はあるか、既往歴や喫煙歴、アレルギーの有無などを詳しく聞き取ります。そして、聴診器で心臓の音や肺の音を聞いたり、血圧を測定したり、脈拍を触れたり、酸素飽和度(血液中の酸素の量)を測定したりします。これらの情報から、ある程度原因の推測が行われます。次に、呼吸器系の疾患が疑われる場合によく行われるのが、胸部レントゲン検査です。肺に炎症や水が溜まっていないか、気胸や肺がんの兆候がないかなどを調べます。より詳しく肺の状態を見るためには、胸部CT検査が行われることもあります。また、呼吸機能検査(スパイロメトリー)は、肺活量や息を吐き出す力などを測定し、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの診断に役立ちます。血液検査も重要な検査の一つです。炎症反応(白血球数やCRPなど)や貧血の有無、心不全のマーカー(BNPやNT-proBNPなど)、甲状腺ホルモンの値などを調べることで、様々な疾患の手がかりを得ることができます。循環器系の疾患が疑われる場合は、心電図検査が必須です。不整脈や心筋虚血(心筋梗塞や狭心症)の兆候がないかを調べます。心臓の動きや構造をより詳しく見るためには、心エコー検査(心臓超音波検査)が行われます。これにより、心臓のポンプ機能や弁の状態、心筋の厚さなどを評価することができます。必要に応じて、運動負荷心電図検査やホルター心電図検査(24時間心電図を記録する検査)、心臓カテーテル検査などが行われることもあります。これらの検査結果を総合的に判断し、医師は息苦しさの原因を特定し、適切な治療方針を決定します。