子供が突発性発疹になった後、看病していた大人が原因不明の体調不良に陥ることがあります。熱っぽくだるい、首のリンパが腫れている気がする。これは、子供から病気がうつったのではないかと心配になるかもしれません。しかし、多くの場合、それは子供からの新たな感染ではなく、自分自身の体内で眠っていたウイルスの「再活性化」が関係している可能性があります。突発性発疹の原因ウイルスであるヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)は、ほとんどの人が幼少期に感染し、体内に潜伏させています。普段は免疫力によって抑え込まれていますが、育児による寝不足や、看病による心身の疲労、ストレスなどが引き金となり、体の免疫力が一時的に低下することがあります。すると、この隙を狙って、体内で潜伏していたHHV-6が再び活動を始めることがあるのです。これがウイルスの再活性化です。再活性化したウイルスに対して、体は再び免疫反応を起こします。その結果として、微熱や倦怠感、リンパ節の腫れといった、風邪に似た症状が現れることがあります。これは、子供から新たにうつった「初感染」による症状ではなく、自分自身の体の中で起きた、いわば「内乱」のようなものです。特に、育児中の母親は、慢性的な睡眠不足や疲労を抱えていることが多く、こうしたウイルスの再活性化を経験しやすい状況にあると言えます。また、HHV-6だけでなく、同じく多くの人が体内に潜伏させているEBウイルス(伝染性単核球症の原因)なども、同様に疲労やストレスで再活性化し、似たような症状を引き起こすことがあります。もし、子供の看病後に原因不明のだるさや微熱が続く場合は、それは体が「少し休んで」とサインを送っているのかもしれません。栄養のある食事を摂り、できるだけ睡眠時間を確保するなど、自分自身の体をいたわることが大切です。症状が長引く場合は、無理をせず内科を受診し、医師に相談しましょう。
大人の体調不良とウイルスの再活性化