眼瞼下垂の治療、特に手術を受ける場合、それが保険適用になるのか、それとも自由診療(自費診療)になるのかは、患者さんにとって大きな関心事の一つです。診療科によって、また治療の目的によって、取り扱いが異なることがあります。まず、保険適用となる眼瞼下垂治療の基本的な考え方は、「日常生活に支障をきたすような視機能障害がある場合」です。具体的には、眼瞼下垂によって上方の視野が狭くなっている、物が見えにくい、目が疲れやすい、頭痛や肩こりがひどいといった症状があり、医師が医学的に治療が必要であると判断した場合に、保険診療の対象となります。眼科や形成外科で、これらの機能改善を目的として行われる手術は、多くの場合、保険適用となります。手術方法としては、眼瞼挙筋前転術や挙筋腱膜前転術、前頭筋吊り上げ術などが一般的です。これらの手術は、あくまで視機能の回復や症状の軽減を目的としたものであり、美容的な見た目の改善が主目的ではありません。一方、自由診療となるのは、主に美容的な目的で行われる眼瞼下垂治療です。例えば、「二重の幅をもっと広くしたい」「よりパッチリとした目にしたい」といった審美的な要望が強く、機能的な障害がそれほど問題視されない場合、あるいは保険適用の基準を満たさない軽度の眼瞼下垂で、見た目の改善を主目的とする場合は、自由診療となることが一般的です。美容外科や一部の形成外科では、このような美容目的の眼瞼下垂手術を自由診療で行っています。自由診療の場合、費用は全額自己負担となりますが、使用できる糸の種類やデザインの自由度が高いといったメリットがある場合もあります。どちらの診療科を受診するにしても、まずは自分の眼瞼下垂の状態が保険適用の基準を満たすのかどうか、そしてどのような治療目的で手術を受けたいのかを医師にしっかりと伝え、相談することが大切です。費用や治療内容について十分に説明を受け、納得した上で治療法を選択するようにしましょう。