まぶたの縁に、ポツリと小さなできものができた。少し赤みがあって、瞬きをするとかすかな違和感がある。これは「ものもらい」かもしれないけれど、こんなに小さいなら放っておいても治るだろうか。病院へ行くべきか、それとも市販の目薬で様子を見るべきか。多くの人が、こんな「小さいものもらい」を前にして、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。結論から言うと、たとえ小さくても、ものもらいが疑われる症状があれば、自己判断で放置せず、早めに眼科を受診することが最善の選択です。なぜなら、「ものもらい」と一言で言っても、その原因や種類は一つではないからです。ものもらいは、医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」という、二つの異なる病気の総称です。麦粒腫は、まぶたにある汗や皮脂を出す腺に細菌が感染して起こる、いわば「まぶたのニキビ」のようなものです。一方、霰粒腫は、まつ毛の生え際にあるマイボーム腺という脂腺が詰まって、肉芽腫というしこりができる病気で、こちらは細菌感染を伴いません。この二つは、見た目が似ていても、原因も治療法も全く異なります。麦粒腫であれば、細菌を叩くための抗菌薬の点眼や軟膏が必要です。霰粒腫の場合は、炎症を抑える点眼薬を使ったり、温めることで詰まりを解消したりしますが、しこりが大きいと切開が必要になることもあります。眼科医は、専門的な知識と器具(細隙灯顕微鏡など)を用いて、この二つを正確に見分け、あなたの症状に最も適した治療法を選択してくれます。小さいからといって放置していると、麦粒腫なら炎症が広がって大きく腫れ上がったり、霰粒腫ならしこりが硬くなって治りにくくなったりする可能性があります。また、ごく稀ではありますが、悪性腫瘍がものもらいのように見えることもあります。小さなサインを見逃さず、目の専門家である眼科医に相談すること。それが、あなたの目の健康を守るための、最も確実で安心な方法なのです。
小さいものもらいは眼科へ行くべき?