貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが減少することで、全身の細胞や組織に十分な酸素が供給されなくなる状態です。その結果、様々な症状が現れますが、中には見過ごされやすいものや、女性特有の悩みと関連しているものもあります。貧血のサインを見逃さず、早期に対処することが大切です。代表的な貧血の症状としては、まず、立ちくらみやめまいが挙げられます。急に立ち上がった時や、長時間立っている時にクラっとするのは、脳への酸素供給が一時的に不足するためです。また、少し動いただけでも息切れがしたり、動悸がしたりするのも、体が酸素不足を補おうとして心臓や肺に負担がかかるためです。全身の倦怠感や疲労感もよく見られる症状です。十分な睡眠をとっても疲れが取れない、やる気が出ないといった状態が続く場合は、貧血が原因かもしれません。顔色が悪く、青白い(顔面蒼白)と言われることもあります。まぶたの裏側(眼瞼結膜)が白っぽくなるのも貧血のサインの一つです。その他、頭痛、集中力の低下、耳鳴り、食欲不振といった症状が現れることもあります。女性特有の症状としては、月経との関連が深いです。月経量が多い(過多月経)方は、毎月の出血によって鉄分が失われやすく、鉄欠乏性貧血になりやすい傾向があります。月経不順や不正出血がある場合も、貧血の原因となることがあります。また、妊娠中や授乳中も、胎児や母乳に鉄分を供給するため、母体の鉄分が不足しやすく、貧血になりやすい時期です。さらに、貧血が進行すると、爪がスプーンのように反り返ったり(スプーンネイル)、舌炎(舌が赤く腫れたり、表面がツルツルになったりする)、口角炎(口の端が切れる)といった症状が現れることもあります。これらのサインに気づいたら、自己判断せずに医療機関を受診し、血液検査などで貧血の有無や原因を調べてもらうことが重要です。