ストレスが原因で胃腸の調子が悪くなる「ストレス性胃腸炎」。この症状に悩まされた時、消化器内科と心療内科、どちらを受診すべきか迷う方もいるかもしれません。それぞれの診療科の役割と、受診の目安について理解しておきましょう。まず、消化器内科は、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸といった消化管の病気を専門とする診療科です。胃痛、吐き気、下痢、便秘といった胃腸症状が現れた場合、まずは消化器内科を受診し、感染症や潰瘍、炎症、腫瘍といった器質的な疾患(目に見える異常)がないかどうかを調べてもらうのが基本です。診察や血液検査、便検査、そして必要に応じて内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)などを行い、これらの疾患を除外します。もし、これらの検査で明らかな異常が見つからず、症状とストレスとの関連が強いと判断された場合に、「ストレス性胃腸炎」や、より専門的な診断名として「機能性ディスペプシア(胃もたれや胃痛など)」や「過敏性腸症候群(下痢や便秘、腹痛など)」といった機能性消化管障害と診断されることがあります。消化器内科では、これらの症状に対して、胃酸分泌抑制薬や消化管運動機能改善薬、整腸剤といった薬物療法や、食事指導、生活習慣の改善指導などを行います。一方、心療内科は、ストレスなどの心理的な要因が体に影響を及ぼして起こる病気(心身症)を専門とする診療科です。胃腸症状だけでなく、気分の落ち込み、不安感、不眠、頭痛、めまいといった精神的な症状も強く現れている場合や、消化器内科で器質的な異常がないと診断されたにもかかわらず、ストレスによって胃腸症状が繰り返し起こる場合には、心療内科への相談が適しています。心療内科では、カウンセリングや精神療法、そして必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬といった薬物療法などを通じて、心と体の両面からアプローチします。どちらの科を受診すべきか迷う場合は、まずは消化器内科で身体的な検査を受け、その結果や医師の判断に応じて、心療内科の受診を検討するという流れが良いでしょう。
消化器内科?心療内科?ストレス性胃腸炎の受診先