背中の痛みは、その原因によって受診すべき診療科が異なります。ここでは、代表的な原因別に、どの診療科が適しているのかを見ていきましょう。まず、最も多い原因の一つが、筋肉や骨、関節といった運動器系のトラブルです。例えば、無理な姿勢や運動による筋肉痛(筋筋膜性腰痛)、背骨のクッションである椎間板が飛び出して神経を圧迫する椎間板ヘルニア、背骨の中の神経の通り道が狭くなる脊柱管狭窄症、加齢などによって骨がもろくなり潰れてしまう圧迫骨折、背骨が変形する変形性脊椎症などが挙げられます。これらの場合は、整形外科が専門となります。レントゲン検査やMRI検査などで原因を特定し、薬物療法、リハビリテーション、場合によっては手術などの治療が行われます。次に、内臓の病気が原因で背中に痛みが生じる「関連痛」です。例えば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍ではみぞおちの痛みとともに背中の左側に痛みが出ることがあります。膵炎では上腹部から背中にかけて激しい痛みが起こります。胆石症や胆嚢炎では右の肩甲骨下あたりや背中の右側に痛みが出ることがあります。腎盂腎炎や尿路結石では、腰から脇腹、背中にかけての痛みや発熱、血尿などを伴うことがあります。これらの場合は、内科や消化器内科、泌尿器科を受診し、血液検査や尿検査、超音波検査、CT検査などで原因を特定し、それぞれの疾患に応じた治療を行います。また、心臓の病気も背中の痛みを引き起こすことがあります。狭心症や心筋梗塞では、胸の痛みだけでなく、左肩や背中に放散する痛み(放散痛)が現れることがあります。大動脈解離では、突然の引き裂かれるような激しい胸背部痛が特徴です。これらの場合は、命に関わる緊急性の高い状態であるため、直ちに循環器内科や救急外来を受診する必要があります。その他、帯状疱疹による神経痛の場合は皮膚科、ストレスが関与している場合は心療内科などが適切な診療科となります。
整形外科?内科?背中の痛みの原因別診療科