ストレスが原因で起こる胃腸の不調、いわゆる「ストレス性胃腸炎」ですが、実際に医療機関を受診した場合、どのような流れで診断が行われるのでしょうか。そして、どのような検査が必要になるのでしょうか。まず、医療機関(主に内科や消化器内科)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。いつから、どのような症状(胃痛、吐き気、下痢、食欲不振など)があるのか、症状の程度や頻度、食事との関連、排便の状況、そして最近のストレスの状況(仕事、家庭、人間関係など)、生活習慣(食事、睡眠、運動、喫煙、飲酒など)、既往歴、服用中の薬などを詳しく聞かれます。この問診は、診断の手がかりを得るために非常に重要です。次に、身体診察が行われます。腹部の聴診や触診(お腹を押さえて痛みの場所や程度を確認する)、血圧測定、体温測定などが行われます。これらの問診と診察から、医師はある程度の原因を推測しますが、ストレス性胃腸炎と診断するためには、まず他の器質的な疾患(胃潰瘍や感染性胃腸炎、炎症性腸疾患、悪性腫瘍など)がないことを確認する必要があります。そのため、いくつかの検査が行われることがあります。代表的な検査としては、血液検査があります。炎症反応(白血球数やCRPなど)や貧血の有無、肝機能、腎機能などを調べることで、全身状態や他の疾患の可能性を探ります。便検査も、感染性の胃腸炎(細菌やウイルスなど)や、消化管からの出血の有無などを調べるために行われることがあります。症状が強い場合や、特定の疾患が疑われる場合には、内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)が勧められることがあります。内視鏡検査では、食道、胃、十二指腸、大腸の粘膜を直接観察し、炎症や潰瘍、ポリープ、がんなどの有無を確認することができます。必要に応じて、組織の一部を採取して病理検査(生検)を行うこともあります。これらの検査で、明らかな器質的な異常が見つからず、症状とストレスとの関連が強く示唆される場合に、ストレス性胃腸炎や、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群といった診断が下されることになります。
ストレス性胃腸炎診断までの流れと検査