「うちの子、落ち着きがない」「忘れ物が多い」「授業に集中できないみたい」…。子どものこのような行動に、ADHD(注意欠如・多動症)の可能性を感じ、心配になる保護者の方は少なくないでしょう。また、大人になってから「自分はADHDかもしれない」と気づくケースも増えています。では、ADHDが疑われる場合、まずどの診療科を受診すれば良いのでしょうか。子どもの場合、最初に相談すべき診療科としては、小児科が挙げられます。かかりつけの小児科医は、子どもの成長発達全般を把握しており、ADHDの可能性を含めて総合的に診察してくれます。必要に応じて、より専門的な検査や診断が可能な児童精神科や小児神経科、あるいは発達外来などを紹介してくれるでしょう。児童精神科や小児神経科は、子どもの心の病気や発達障害を専門とする診療科であり、ADHDの診断と治療において中心的な役割を担います。問診(保護者や本人からの詳しい聞き取り、学校や園での様子など)、行動観察、心理検査、発達検査などを行い、総合的に診断を下します。大人のADHDが疑われる場合は、精神科または心療内科が主な相談先となります。精神科医は、成人のADHDを含む精神疾患全般の診断と治療を専門としています。心療内科は、ストレスなど心理的な要因が体に影響を及ぼす心身症などを主に扱いますが、ADHDの診療を行っている場合もあります。受診する際には、事前に医療機関のホームページなどで、ADHDの診療を行っているか、予約が必要かなどを確認しておくとスムーズです。また、子どもの頃の様子(通知表や母子手帳など)が分かる資料があれば、診断の参考になることがあります。ADHDの診断は、専門的な知識と経験を持つ医師によって慎重に行われる必要があります。自己判断せずに、まずは適切な診療科を受診し、専門家のアドバイスを受けることが大切です。