貧血が疑われる場合、医療機関ではどのような検査が行われ、どのような治療が進められるのでしょうか。一般的な診療科(主に内科)での流れを理解しておくと、受診の際の不安が軽減されるでしょう。まず、受診すると医師による問診が行われます。いつからどのような症状(立ちくらみ、めまい、息切れ、倦怠感、顔面蒼白など)があるのか、症状の程度や頻度、月経の状況(女性の場合)、食事内容、既往歴、服用中の薬、家族歴などを詳しく聞き取ります。次に、身体診察です。顔色やまぶたの裏側(眼瞼結膜)の色、爪の状態などを観察したり、聴診器で心臓の音を聞いたり、脈拍を触れたりします。そして、貧血の診断に最も重要なのが血液検査です。血液検査では、主に以下の項目を調べます。赤血球数(RBC):血液中の赤血球の数。ヘモグロビン濃度(Hb):赤血球に含まれる酸素を運ぶタンパク質の濃度。これが低いと貧血と診断されます。ヘマトクリット値(Ht):血液中に占める赤血球の容積の割合。血清鉄(Fe):血液中の鉄分の量。フェリチン:体内に貯蔵されている鉄(貯蔵鉄)の量。鉄欠乏性貧血の診断に重要です。総鉄結合能(TIBC)または不飽和鉄結合能(UIBC):鉄を運ぶタンパク質の能力。これらの検査結果から、貧血の有無、重症度、そして貧血の種類(鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血など)を判断します。最も多い鉄欠乏性貧血と診断された場合の治療は、鉄剤の経口投与(飲み薬)が基本です。鉄剤は、通常数週間から数ヶ月間服用を続ける必要があります。副作用として、吐き気や便秘、下痢などが現れることがありますが、医師に相談しながら服用方法を調整したり、副作用を軽減する薬を併用したりします。同時に、鉄分の多い食事を心がけるといった食事指導も行われます。貧血の原因が特定できない場合や、治療効果が見られない場合は、消化管内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)や婦人科的検査など、さらに詳しい検査が行われることもあります。
貧血の検査と治療の流れ一般的な診療科