「子供の頃、突発性発疹にかかった記憶がないのだけれど、自分は大丈夫だろうか」。子供が突発性発疹にかかった時、そう不安に思う親御さんもいるかもしれません。特に、母子手帳を紛失してしまったり、親に聞いても覚えていなかったりすると、自分の感染歴がわからず、心配になるのも無理はありません。しかし、結論から言うと、あなたが日本で育った大人であれば、ほぼ間違いなくすでにヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)に感染し、抗体を持っています。日本の成人におけるHHV-6の抗体保有率は、実に九割以上、研究によってはほぼ百パーセントに近いというデータもあります。これは、このウイルスが私たちの生活環境の中に非常によくありふれて存在しており、誰もが知らないうちに感染を経験していることを意味しています。多くの場合、その感染は乳幼児期に起こります。そして、特徴的な高熱や発疹といった症状が出る「顕性感染」として経験するのは、実は感染した子供の一部です。残りの多くの子供たちは、感染しても全く症状が出ないか、あるいは軽い鼻風邪程度の症状で済んでしまう「不顕性感染」の形で、静かに免疫を獲得しているのです。ですから、「突発性発疹にかかった覚えがない」というのは、ごく当たり前のことなのです。記憶に残るような派手な症状は出なかったけれど、体はちゃんとウイルスと戦い、免疫という武器を手に入れている、というわけです。それでもどうしても心配で、自分の抗体の有無をはっきりと知りたいという場合は、医療機関で血液検査(抗体検査)を受けることで確認が可能です。HHV-6のIgG抗体を測定し、その値が陽性であれば、過去に感染したことがある証拠となります。しかし、前述の通り、ほとんどの大人は抗体を持っているため、子供の看病のためにわざわざ検査を受ける必要性は低いと言えるでしょう。記憶になくても、あなたの体はすでに突発性発疹ウイルスに対する準備を整えている。そう考えて、安心して子供の看病に専念してください。
私って突発性発疹にかかったことある?