女性にとって、月経は毎月訪れる生理現象ですが、この月経が出血を伴うため、貧血の大きな原因の一つとなり得ます。特に、月経量が多い「過多月経」の方は、慢性的な鉄欠乏状態に陥りやすく、貧血の症状に悩まされることが少なくありません。月経と貧血の関係性を理解し、必要に応じて婦人科の受診も検討することが大切です。正常な月経期間は三日から七日間程度、経血量は一周期あたり二十ミリリットルから百四十ミリリットル程度とされています。しかし、これよりも明らかに経血量が多い場合や、レバーのような大きな血の塊が頻繁に出る場合、昼間でも夜用のナプキンが必要な日が何日も続く場合などは、過多月経の可能性があります。過多月経の原因としては、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープといった婦人科系の疾患が隠れていることがあります。また、ホルモンバランスの乱れや、血液凝固異常などが原因となることもあります。これらの疾患があると、月経時の出血量が増加し、体内の鉄分が大量に失われてしまいます。その結果、鉄欠乏性貧血が引き起こされ、立ちくらみ、めまい、息切れ、倦怠感、顔面蒼白といった症状が現れるのです。貧血の症状だけでなく、月経痛がひどい、月経期間が長い、不正出血があるといった他の婦人科系の症状も伴う場合は、まず婦人科を受診し、過多月経の原因を特定してもらうことが重要です。婦人科では、問診や内診、超音波検査、血液検査などを行い、原因疾患の診断と治療を行います。原因となっている疾患の治療(薬物療法や手術など)を行うことで、月経量が減少し、貧血の改善に繋がるケースも多くあります。また、内科で貧血と診断され、鉄剤を服用してもなかなか改善しない場合や、貧血の原因として婦人科系の疾患が疑われる場合も、婦人科との連携が必要になります。自己判断せずに、専門医に相談しましょう。