子供が突然の高熱を出し、手や足、口の中に発疹が現れる手足口病。いざ我が子が診断されると、親として最も気になるのは「このつらい症状は、一体何日で治るのだろうか」ということでしょう。先の見えない看病は不安なものですが、病気の典型的な経過を知っておくことで、心に少し余裕を持って対応することができます。結論から言うと、手足口病は、ほとんどの場合、発症してからおよそ七日から十日程度で自然に治癒する病気です。特効薬はなく、基本的には体の免疫力でウイルスを克服するのを待つことになります。では、具体的にどのような経過をたどるのでしょうか。まず、ウイルスに感染してから三日から五日ほどの潜伏期間があります。この間は無症状です。その後、発症一日目から二日目にかけて、三十七度から三十八度程度の発熱が見られます。ただし、熱は出ない子も多く、出たとしても二日程度で下がることがほとんどです。この頃から、喉の痛みや食欲不振を訴え始めます。そして、発症二日目から三日目になると、この病気の名前の由来である、特徴的な症状が現れます。口の中の粘膜や舌に、痛みを伴う米粒大の水ぶくれ(口内炎)ができ始め、それとほぼ同時に、手のひら、足の裏、お尻などに、赤いポツポツとした発疹や水疱が出現します。症状のピークは、発症から三日目から五日目頃です。特に口内炎の痛みが強くなり、食事や水分を摂るのを嫌がるため、親としては最も根気のいる時期かもしれません。このピークを乗り越えると、徐々に回復期に入ります。発症後五日目以降は、口内炎の痛みも和らぎ、発疹も次第に引いていきます。手足口病の発疹は、水ぼうそうとは異なり、かさぶたにならずに、跡形もなく消えていくのが特徴です。そして、発症から七日から十日も経てば、すっかり元の元気な姿に戻ります。このように、手足口病はつらい時期もありますが、必ず終わりが来ます。全体的な治癒までの流れを把握し、焦らず、子供の回復力を見守ってあげましょう。