手足口病は、多くの場合、数日から一週間程度で自然に軽快する比較的予後の良い疾患ですが、稀に重症化し、髄膜炎や脳炎、心筋炎といった深刻な合併症を引き起こすことがあります。この重症化のリスクと、個人の免疫状態はどのように関係しているのでしょうか。手足口病の重症化に特に関連が深いとされているのが、エンテロウイルスA71型(EV-A71)という型のウイルスです。EV-A71に感染した場合、他の型のウイルスに比べて、中枢神経系の合併症(髄膜炎や脳炎など)や心肺機能不全を起こすリスクが高いことが知られています。個人の免疫状態も、重症化に影響を与える可能性があります。一般的に、年齢が低い乳幼児ほど、免疫機能が未発達であるため、ウイルスに対する抵抗力が弱く、重症化しやすい傾向があります。また、何らかの基礎疾患(例えば、免疫不全状態にあるなど)を持つ人も、重症化のリスクが高まる可能性があります。初めて特定の型のエンテロウイルスに感染する場合(初感染)は、そのウイルスに対する免疫をまだ持っていないため、症状が比較的強く出たり、重症化しやすかったりすることが考えられます。一方、過去に同じ型、あるいは類似した型のウイルスに感染した経験があり、ある程度の免疫(交差免疫など)を持っている場合は、症状が軽かったり、重症化しにくかったりする可能性があります。しかし、手足口病の原因ウイルスは種類が多く、獲得できる免疫も型特異的であるため、過去の感染歴が必ずしも重症化を防ぐとは限りません。また、EV-A71のような病原性の高いウイルスに感染した場合は、免疫状態に関わらず重症化するリスクも否定できません。手足口病の症状として、高熱が続く、ぐったりして元気がない、嘔吐を繰り返す、頭痛が強い、意識が朦朧としている、呼吸が速く苦しそうといったサインが見られた場合は、重症化の兆候である可能性があるため、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが非常に重要です。
手足口病の重症化と免疫の関係性