背中の痛みというと、筋肉痛や骨の問題を思い浮かべがちですが、実は内臓の病気が原因で背中に痛みが生じる「関連痛」というものがあります。関連痛とは、病気のある内臓から離れた部位に感じる痛みのことで、内臓からの痛みの信号が、同じ脊髄神経を介して皮膚や筋肉に伝わる際に、脳が痛みの発生源を誤認することで起こると考えられています。そのため、背中の痛みを感じて整形外科を受診しても、原因が見つからず、実は内臓の病気が隠れていたというケースも少なくありません。では、どのような内臓の病気が背中に関連痛を引き起こすのでしょうか。まず、消化器系の疾患です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍では、みぞおちの痛みとともに、背中の中央部から左側にかけて鈍い痛みや重苦しさを感じることがあります。急性膵炎では、上腹部の激しい痛みとともに、背中にも突き抜けるような強い痛みが現れるのが特徴です。胆石症や胆嚢炎では、右の上腹部痛とともに、右の肩甲骨の下あたりや右の背中に鋭い痛みが生じることがあります。次に、泌尿器系の疾患です。腎盂腎炎では、高熱や悪寒とともに、片側の腰から背中にかけての鈍痛や叩打痛(叩くと響く痛み)が見られます。尿路結石では、突然、脇腹から背中、下腹部にかけて七転八倒するほどの激しい痛み(疝痛発作)が起こります。また、循環器系の疾患も重要です。狭心症や心筋梗塞では、胸の痛みだけでなく、左肩や左腕、そして左の背中に痛みが放散することがあります。大動脈解離では、胸から背中にかけて引き裂かれるような激しい痛みが特徴です。婦人科系の疾患、例えば子宮内膜症や卵巣の病気などが、腰や背中の下部に痛みを引き起こすこともあります。このように、背中の痛みは内臓からのSOSサインである可能性もあります。特に、安静にしていても痛みが変わらない、食事との関連がある、発熱や吐き気、血尿、胸痛といった他の症状を伴う場合は、内臓疾患を疑い、内科や消化器内科、泌尿器科、循環器内科など、適切な診療科を受診することが大切です。
内臓の病気が原因?背中の痛みと関連痛