眼瞼下垂は、単に見た目の問題や視野が狭くなるといっただけでなく、慢性的な頭痛や肩こりを引き起こす原因となることがあります。まぶたが下がって物が見えにくくなると、無意識のうちに眉毛を上げて目を開けようとしたり、顎を突き出すような姿勢をとったりするようになります。この時、額の筋肉(前頭筋)や首、肩の筋肉に常に余計な力が入った状態が続くため、筋肉が緊張し、血行が悪くなることで、頭痛(特に緊張型頭痛)や肩こり、首のこりが生じやすくなるのです。また、目の疲れ(眼精疲労)も起こりやすく、これがさらに頭痛や肩こりを悪化させるという悪循環に陥ることもあります。このような眼瞼下垂に伴う頭痛や肩こりに悩んでいる場合、どの診療科に相談すれば良いのでしょうか。まず、根本的な原因である眼瞼下垂の診断と治療については、眼科や形成外科が専門となります。眼科では、眼瞼下垂の程度や視機能への影響を評価し、手術の必要性などを判断します。形成外科では、機能改善と整容的な改善を両立させた手術治療が期待できます。眼瞼下垂の手術によってまぶたが上がりやすくなり、物が見やすくなると、無理な姿勢をとる必要がなくなるため、結果として頭痛や肩こりが軽減・解消されるケースは少なくありません。一方で、頭痛や肩こりの症状が非常に強い場合や、他の原因も考えられる場合は、神経内科や整形外科といった診療科への相談も有効です。神経内科では、頭痛の種類を特定し、適切な薬物療法や生活指導を行ってくれます。整形外科では、首や肩の筋肉、骨格系の問題がないかを調べ、理学療法や薬物療法などを行います。また、ペインクリニックでは、痛みの専門医が神経ブロック注射などを用いて、つらい痛みを緩和する治療を行ってくれることもあります。眼瞼下垂が原因と思われる頭痛や肩こりの場合、まずは眼科や形成外科で眼瞼下垂の治療について相談し、必要に応じて他の診療科とも連携を取りながら、総合的に症状の改善を目指していくのが良いでしょう。