手足口病は、夏風邪の一種として子どもたちの間で流行しやすい感染症ですが、現在のところ、手足口病を予防するための有効なワクチンは、日本では実用化されていません。一部の国や地域では、重症化しやすいエンテロウイルスA71型(EV-A71)に対する不活化ワクチンが開発・使用されていますが、日本国内では承認されていません。また、手足口病の原因となるウイルスは非常に多くの種類が存在するため、全ての型をカバーするワクチンを開発するのは非常に難しいのが現状です。そのため、手足口病の予防は、基本的に個人の免疫力と、日々の感染予防策に頼ることになります。一度特定の型のウイルスに感染すると、その型に対する免疫(抗体)は獲得できますが、前述の通り、他の型のウイルスには効果がありません。したがって、ワクチンによる予防が期待できない以上、最も重要なのは、感染経路を遮断するための基本的な対策を徹底することです。手足口病の主な感染経路は、飛沫感染(咳やくしゃみなど)、接触感染(ウイルスが付着した手やおもちゃなどを介して)、そして糞口感染(便の中に排出されたウイルスが口から入る)です。これらの感染経路を断つためには、まず、こまめな手洗いが非常に重要です。石鹸と流水で、指の間や手首まで丁寧に洗いましょう。アルコール消毒も有効ですが、エンテロウイルスはノンエンベロープウイルスであるため、アルコールが効きにくい場合もあります。次亜塩素酸ナトリウムによる消毒がより効果的とされていますが、使用には注意が必要です。また、咳やくしゃみをする際には、ティッシュやマスクで口や鼻を覆うといった咳エチケットを心がけましょう。おむつ交換の後や、トイレの後も、しっかりと手洗いを行うことが糞口感染の予防に繋がります。保育園や幼稚園などの集団生活の場では、おもちゃの定期的な消毒も大切です。このように、ワクチンがない現状では、地道な感染予防策を積み重ねることが、手足口病から身を守るための最も有効な手段となります。
手足口病の予防ワクチンはない?免疫頼み?