ストレス性胃腸炎は、胃痛や吐き気、下痢といった症状が現れますが、これらの症状は他の様々な消化器疾患でも見られるため、自己判断は禁物です。ストレス性胃腸炎と診断される前に、まずは他の病気の可能性を除外することが重要になります。ストレス性胃腸炎と間違えやすい代表的な病気をいくつかご紹介します。まず、感染性胃腸炎です。ウイルス(ノロウイルスやロタウイルスなど)や細菌(サルモネラ菌やカンピロバクターなど)の感染によって起こり、急な嘔吐や下痢、腹痛、発熱といった症状が現れます。特に、生牡蠣や加熱不十分な肉類を食べた後などに発症することがあります。次に、胃潰瘍や十二指腸潰瘍です。胃や十二指腸の粘膜が胃酸などによって深く傷つく病気で、みぞおちの痛み(特に空腹時や夜間に多い)、胸やけ、吐き気、食欲不振などが主な症状です。進行すると吐血や下血(黒色便)を伴うこともあります。ピロリ菌感染や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用などが原因となることが多いです。逆流性食道炎も、胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)、喉の違和感、胃もたれといった症状が現れ、ストレスが関与することもあります。食道裂孔ヘルニアや肥満、喫煙などがリスク因子です。炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎やクローン病も、下痢や腹痛、血便、体重減少といった症状が慢性的に続く病気で、ストレスによって症状が悪化することがあります。また、稀ではありますが、胃がんや大腸がんといった悪性腫瘍も、初期には胃腸の不快感や食欲不振といった曖昧な症状しか現れないことがあります。その他、胆石症や膵炎、過敏性腸症候群(IBS)、機能性ディスペプシア(FD)なども、ストレス性胃腸炎と症状が類似していることがあります。これらの疾患は、それぞれ専門的な検査や治療が必要となるため、胃腸の不調が続く場合は、必ず消化器内科などの医療機関を受診し、正確な診断を受けるようにしましょう。