まぶたが下がってきて目が開けにくい「眼瞼下垂」。いざ治療を考えた時、眼科と形成外科(あるいは美容外科)、どちらを受診すれば良いのか迷う方もいるでしょう。それぞれの診療科の役割と特徴を理解し、自分に合った受診先を選ぶことが大切です。まず、眼科は目の病気全般を扱う専門家です。眼瞼下垂の診断においては、まぶたの状態だけでなく、視力や視野、眼圧、眼球運動など、目全体の機能を総合的に評価します。眼瞼下垂の原因が、加齢やコンタクトレンズの使用といった一般的なものなのか、それとも重症筋無力症や動眼神経麻痺といった神経・筋肉系の疾患、あるいは眼瞼腫瘍など、他の目の病気が隠れていないかを鑑別診断する上で非常に重要な役割を担います。眼科でも眼瞼下垂の手術治療を行っている施設はありますが、主に視機能の改善を目的とした保険診療が中心となることが多いです。一方、形成外科は、体の表面の変形や欠損、醜状などを治療し、機能的にも形態的にも正常な状態に近づけることを専門とする診療科です。眼瞼下垂の手術も得意としており、まぶたの構造や機能、そして美容的な側面も考慮した治療を行います。眼瞼下垂によって狭くなった視野を広げる機能改善はもちろんのこと、左右のバランスを整えたり、より自然で若々しい目元を目指したりといった、審美的な要望にも対応できる場合があります。美容外科は、主に美容目的の治療を行う診療科であり、眼瞼下垂の手術も美容的な観点からアプローチします。二重のラインをきれいに整えたい、よりパッチリとした目にしたいといった希望がある場合に選択肢となります。ただし、美容外科での治療は自由診療となることが一般的です。どちらの科を受診するか迷う場合は、まずは眼科で正確な診断を受け、眼瞼下垂の原因や重症度、他の目の病気の有無などを確認してもらうのが良いでしょう。その上で、治療の目的(視機能改善が主か、美容的な改善も重視するかなど)や、医師の専門性、手術方法などを考慮し、必要であれば形成外科や美容外科を紹介してもらうという流れがスムーズです。