足のむくみは、単なる体質や生活習慣の問題だけでなく、足の血管の病気が原因で起こっている可能性もあります。特に注意が必要なのが、下肢静脈瘤と深部静脈血栓症です。これらを放置しておくと、症状が悪化したり、重篤な合併症を引き起こしたりするリスクがあります。下肢静脈瘤は、足の静脈にある血液の逆流を防ぐための弁が壊れたり、働きが悪くなったりすることで、血液が足に滞留し、静脈がコブのように膨らんでしまう病気です。初期には、足のむくみやだるさ、重さ、こむら返りといった症状が現れます。進行すると、血管が浮き出て見た目が悪くなるだけでなく、皮膚の色素沈着や湿疹、皮膚炎、さらには皮膚潰瘍などを引き起こすことがあります。下肢静脈瘤によるむくみは、夕方になると強くなり、朝になると軽減する傾向があります。深部静脈血栓症は、足の深い部分にある静脈に血栓(血の塊)ができる病気です。長時間同じ姿勢でいること(例えば、長時間のフライトやデスクワーク、災害時の避難生活など)や、脱水、手術後、妊娠・出産、経口避妊薬の服用などがリスク因子となります。主な症状は、片足の急な腫れや痛み、皮膚の赤み、熱感などです。この深部静脈血栓症で最も危険なのは、できた血栓が血流に乗って肺に到達し、肺の血管を詰まらせてしまう肺塞栓症(エコノミークラス症候群)です。肺塞栓症は、突然の呼吸困難や胸痛、失神などを引き起こし、命に関わることもある非常に危険な状態です。足のむくみが片足だけに急に現れた場合や、痛みや赤みを伴う場合は、深部静脈血栓症の可能性を考え、速やかに医療機関(循環器内科や血管外科など)を受診する必要があります。下肢静脈瘤が疑われる場合も、専門医に相談し、適切な診断と治療(弾性ストッキングの着用、硬化療法、手術など)を受けることが大切です。足のむくみを軽く考えず、血管の病気のサインかもしれないという意識を持つことが重要です。
下肢静脈瘤や血栓症足のむくみと血管の病気