一時的な足のむくみは誰にでも起こり得ますが、そのむくみが毎日続く、あるいは徐々に悪化していく「慢性的なむくみ」は、体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。放置しておくと、どのようなことが起こりうるのでしょうか。まず、皮膚トラブルのリスクが高まります。むくみによって皮膚が常に引き伸ばされた状態が続くと、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥しやすくなります。乾燥した皮膚は外部からの刺激に弱く、かゆみや湿疹、皮膚炎などを起こしやすくなります。また、血行不良も伴うため、皮膚への栄養供給が悪くなり、皮膚の色素沈着(黒ずみ)や、皮膚が硬くなる(線維化)といった変化が現れることもあります。重症化すると、皮膚が薄く弱くなり、わずかな傷でも治りにくく、潰瘍(皮膚がえぐれた状態)を形成してしまうこともあります。次に、感染症のリスクです。むくんでいる組織は、免疫細胞の働きが悪くなり、細菌などに対する抵抗力が低下します。そのため、ちょっとした傷から細菌が侵入しやすく、蜂窩織炎(ほうかしきえん)といった皮膚の感染症を引き起こしやすくなります。蜂窩織炎は、患部が赤く腫れ上がり、熱感や痛みを伴い、時には発熱などの全身症状が現れることもあります。さらに、慢性的なむくみは、リンパ管の流れを悪化させ、リンパ浮腫という状態を引き起こすことがあります。リンパ浮腫は、進行すると皮膚が硬く厚くなり、象の皮膚のように変化することもある難治性の疾患です。また、むくみが長期間続くと、足の重だるさや疲労感が常に付きまとい、日常生活の質(QOL)を著しく低下させることにも繋がります。歩くのが億劫になったり、好きな靴が履けなくなったり、見た目の変化から精神的なストレスを感じたりすることもあるでしょう。これらのように、足のむくみが慢性化すると、単に不快なだけでなく、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。慢性的なむくみに悩んでいる場合は、医療機関を受診し、原因を特定して適切な治療を受けることが大切です。