「喘息かもしれない」と思って病院へ行っても、具体的にどんなことをされるのか分からず、受診をためらってしまう方もいるかもしれません。しかし、喘息の診断は、いくつかのステップを踏んで丁寧に行われますので、過度に心配する必要はありません。ここでは、呼吸器内科などを受診した際の、一般的な診断の流れをご紹介します。まず最初に行われるのが、医師による「問診」です。これは診断において最も重要なプロセスの一つで、あなたの症状について詳しく話を聞かれます。いつから咳や息苦しさが始まったか、どんな時に症状が悪化するか(夜間や早朝、運動時、特定の季節など)、咳の音(コンコン、ゼーゼーなど)、アレルギーの有無、家族に喘息の人がいるか、喫煙歴など、多岐にわたる質問をされます。できるだけ具体的で正確な情報を伝えることが、的確な診断への近道です。事前に症状をメモしておくと良いでしょう。次に、聴診器を使って胸の音を聞く「聴診」が行われます。喘息の発作が起きている時には、気道が狭くなっているために生じる「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった特徴的な音(喘鳴)が聞こえることがあります。そして、喘息診断の要となるのが「呼吸機能検査(スパイロメトリー)」です。これは、機械に向かって思い切り息を吸ったり吐いたりして、肺活量や、一秒間にどれだけの量の息を吐き出せるか(一秒量)を測定する検査です。喘息の人は気道が狭くなっているため、この一秒量が低下します。さらに、気管支拡張薬を吸入した後に再度検査を行い、一秒量が改善するかどうかを見ることで、喘息の診断をより確かなものにします。近年では、「呼気NO(一酸化窒素)濃度測定」という検査も広く行われるようになりました。これは、吐いた息に含まれる一酸化窒素の濃度を測定するもので、アレルギー性の炎症が気道にあるとこの数値が高くなります。痛みを伴わない簡単な検査で、気道の炎症状態を客観的に評価できます。これらの問診や検査の結果を総合的に判断して、医師は喘息の診断を下すのです。