肋間神経痛の特徴である「チクチク」「ピリピリ」とした胸の痛みは、多くの人を不安にさせますが、その痛みの中には、決して見過ごしてはならない、命に関わる病気のサインが隠れていることがあります。自己判断で「いつもの神経痛だろう」と放置してしまうことの危険性を理解しておくことは非常に重要です。まず、最も警戒すべきなのが「心臓の病気」です。特に「心筋梗塞」や「狭心症」は、胸の痛みを主な症状とします。これらの痛みは、肋間神経痛のような鋭い痛みとは異なり、「胸が締め付けられるよう」「圧迫されるよう」「重石を乗せられたよう」と表現されることが多く、数分から数十分続きます。痛みは左肩や腕、顎にまで広がることがあり、冷や汗、吐き気、息苦しさを伴う場合は、一刻も早く救急車を呼ぶ必要があります。次に、「肺の病気」も胸痛の原因となります。突然の鋭い胸の痛みと呼吸困難が現れた場合、「自然気胸」の可能性があります。これは、肺に穴が開いて空気が漏れ、肺がしぼんでしまう病気で、特に若い痩せ型の男性に多く見られます。また、「肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」も、突然の胸痛と呼吸困難を引き起こす致死率の高い病気です。長時間同じ姿勢でいた後などに、足の静脈にできた血栓が肺の動脈に詰まることで発症します。さらに、肋間神経痛の代表的な原因の一つである「帯状疱疹」も、初期段階では皮膚に発疹が現れる前に、神経に沿った痛みだけが先行することがあります。これを単なる神経痛だと思っていると、治療の開始が遅れ、つらい帯状疱疹後神経痛という後遺症を残すリスクが高まります。これらの病気は、いずれも早期の診断と治療がその後の経過を大きく左右します。肋間神経痛と似た症状であっても、いつもと違うと感じたら、迷わず医療機関を受診してください。その行動が、あなたの命を守ることに繋がるのです。
肋間神経痛と間違えやすい命に関わる胸の痛み