四十肩とは医学的に肩関節周囲炎と呼ばれる疾患でありその名の通り40代を中心とした幅広い世代に突如として現れる肩の痛みと運動制限を主症状とする病態です。私たちの肩関節は人間の体の中で最も可動域が広い関節であり複雑な筋肉や腱、そして関節包という袋状の組織によって支えられていますが加齢に伴いこれらの組織に変性が生じ炎症が起きることで四十肩が発症します。この疾患の最大の特徴は症状の進行に合わせて炎症期、拘縮期、回復期という3つの明確な段階を経て推移する点にあります。最初の炎症期には肩を動かした時の鋭い痛みだけでなく何もしなくてもズキズキと痛む自発痛や夜寝ている時に激痛で目が覚める夜間痛が顕著に現れます。この時期は無理に動かそうとするとかえって炎症を悪化させてしまうためまずは安静を保ちつつ必要に応じて非ステロイド性抗炎症薬などの鎮痛剤を用いることが推奨されます。続く拘縮期に入ると激しい痛みは徐々に落ち着いていきますが代わりに関節包が癒着して硬くなることで肩の可動域が極端に狭くなります。腕を後ろに回す動作や高いところの物を取る動作が困難になり日常生活に多大な支障をきたすのがこの時期です。そして最後の回復期には肩の強張りが少しずつ解け痛みもほとんど消えていきますがこの一連のサイクルが完了するまでには半年から1年半ほどの長い時間を要することが一般的です。四十肩の原因については現代医学でも完全に解明されているわけではありませんが長年の酷使による微細な損傷の積み重ねや血行不良、さらにはホルモンバランスの変化などが複合的に関与していると考えられています。特にデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けている人は肩甲骨周囲の柔軟性が低下しており発症のリスクが高まる傾向にあります。診断に際してはレントゲン検査で骨の異常を排除しつつ超音波検査やMRIを用いて腱板断裂などの他の疾患との鑑別が行われます。四十肩は放置しても自然に治ると言われることもありますが適切な処置を行わなければ関節が硬まったまま後遺症として残ってしまうリスクもあるため早い段階で整形外科などの専門医の診察を受けることが肝要です。また温熱療法によって血流を改善したり無理のない範囲で振り子運動などのリハビリテーションを取り入れたりすることで回復を早めることが期待できます。自分の肩に起きている変化を正しく受け止め焦らずに病期に合わせたケアを続けることが健康な肩を取り戻すための唯一の道なのです。
四十肩の症状と原因を正しく理解するための基礎知識