ある日の昼食時、私は右の耳の下あたりに不自然な張りを感じました。最初は食事中に顎を動かした際の一時的な違和感だと思っていましたが、午後3時を過ぎる頃には、明らかに右側のフェイスラインが膨らんでいるのが分かりました。鏡を見ると、まるで大きなキャンディを頬張っているかのような腫れ方です。驚いて体温を測りましたが、36.5度の平熱でした。喉の痛みや倦怠感もなく、ただ耳の下だけが重苦しく痛むのです。かつて子供の頃におたふく風邪は経験済みだったので、再感染を疑いましたが、大人が熱なしでかかるものなのか不安になり、仕事帰りに耳鼻咽喉科へ駆け込みました。医師の診断は意外なものでした。エコー検査の結果、唾液を運ぶ管の中に2ミリメートルほどの小さな石、つまり唾石が見つかったのです。これが唾液の流れを堰き止めていたため、食事をきっかけに腫れが生じたという説明でした。医師からは、最近仕事が忙しく、水分をあまり摂っていなかったのではないかと尋ねられ、思い当たる節がいくつもありました。水分不足で唾液が濃くなり、石ができやすい環境になっていたようです。治療としては、まずは口の中から優しくマッサージをして石の排出を促す処置が行われました。幸いにも石が管の出口に近い場所にあったため、数日間の水分摂取とマッサージによって自然に排出される可能性が高いとのことでした。その日の夜、自宅で言われた通りに水分をたくさん摂り、耳の下を優しくさすっていると、翌朝にはあんなに目立っていた腫れが嘘のように引いていました。その後、再受診した際には石は消えており、耳下腺の炎症も治まっていました。この体験を通じて、大人の耳下腺トラブルは必ずしも感染症だけではないことを学びました。特にデスクワークに集中していると、無意識のうちに口の中が乾き、唾液の循環が滞ってしまうことがあります。熱が出ないからと受診を躊躇していたら、今頃もっと大きな石になって手術が必要だったかもしれません。自分の体のサインを無視せず、プロの診断を仰いだことで、数日の不安から解放されました。それ以来、私はデスクに常にマイボトルを置き、1時間に一度は水分を摂るように心がけています。